【防火技術のグローバル化・保険としてのリブランディング】

先日、危険物の規制に関する規則が一部改正されました。

https://www.fdma.go.j/laws/tutatsu/items/231206_kiho2.pdf

内容はリチウムイオンバッテリーに関する屋内貯蔵所の特例についてです。

リチウムイオンバッテリーは引火性液体に該当することから、原則屋内貯蔵所での保管が必要となりますが、リチウムイオンバッテリーの普及拡大に伴う規制緩和のため基準の特例が設けられたようです。(日本では屋内貯蔵所のサイズを制限しているため、国際競争力を欠いていることが背景)

今回の改正内容で個人的に注目しているポイントがあります。

特例を適用できる要件の一つに消火設備がありますが、一定の要件を満たしたスプリンクラーを設置した場合となっています。

どういった要件かというと、改正に伴うパブコメ(回答#5)にも明記されていますが、“欧米と同等 以上の放水性能”を持ったスプリンクラーが設置されている場合とのことです。

https://www.fdma.go.jp/pressrelease/houdou/items/9909dd540dfaa113679348b50a162faf02e328fc.pdf

※詳細は改正規則に記載があります。

引火性液体に第2種消火設備!?と思われるかもしれませんが、海外では引火性液体もSPで対応可としていることも多いです。

これまで鎖国政策をとっていた日本の消防行政が少し開国に踏み切った瞬間ではないでしょうか。

また、海外のSP基準では一般的な放水密度という考えが規則に明記されたのも新たな一歩だと感じました。

放水量や放水密度はFM基準(FM Globalという民間の保険会社が作成したSPの基準で弊社でも参考にしています。)が参考とされており、圧倒的な水量をもって確実に消し止める覚悟を持った事業者には特例を与えよう、というものですね。

以下の消防法により設置されたSPと海外基準のSPの比較実験がとても面白いです。
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-108/02/shiryou3-1.pdf

マイナーな改正かもしれませんが、消防法が海外の民間基準を参考にしたという点では歴史的な一歩ではないのかと個人的には感動していました。

改正に伴う検討会の議事録も臨場感があって読みごたえがあります(私だけ?笑)
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-106/01/youshi.pdf

保険会社が基準を作成しているぐらいなんで、海外ではスプリンクラーは保険なんです!だから高級・重要なものとして扱われています。

私たちは日本でも消防用設備を保険としてリブランディングしていきたい!

今後、よりグローバル化する社会では安全基準についても国際基準に合わせていく必要があり、消防法も同様の改正が行われていくものと予想できます。

また、日本のモノづくりの国際競争力を維持するためにも合理的な防火技術は今後ますます重要になると考えられます。

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